秋月 PIC 計測アダプター & データロガー

(CQ出版から本を出しました: はじめてのPICアセンブラ入門| センサとデ ジカメで遊ぶ電子工作入門 | 玄箱PROと電子工作で遊ぼう)

秋月電子の PIC を使った 計測アダプタを作成した時のメモです。 伊藤さん(JH4CBA)による http://cba.sakura.ne.jp/kit01/kit_093a.htm にも紹介されています。

外部電源として 006P をつけないと動作しない

006P を外部電源として用意しないと手元のパソコンでは正常動作しませんでした。 このときデジタルテスタで測ると 5V のところには 4.95V かかっています。 これは 006P を利用した時と同じ値でした。

つぎに 006P を外付けし、正常にパソコンと通信できている状態にし、通信途中 (Windows 版ソフトの電圧計測モードで計測中)に 006P を外してみました。 すると正常動作していたものが通信が途絶えました。電源 ON 時のリセットが できないために動作しないのではないことがわかりました。

同じことをオシロで 5V 端子を見ながら行ないました。すると 006P を 外すと定期的に電源が 5V から落ちていることがわかりました。 これでは定期的にリセットがかかってしまいます。

このとき測定端子には何もつながない状態で、電圧測定モードでした。 では何が電圧降下を引き起こしているのでしょうか。 PIC, オペアンプ, 24LC64 は一定の消費電流と思われるます。疑わしいのは RS-232C の PIC から出力している Q2 が駆動する R4 1kΩ です。 パソコンからくる RTS の信号を電源にしているのですが、PIC が信号を送る 際に RTS から R4 を通して GND に電流が流れているため電圧降下が 起きているのではないかと思われます。定期的に起こるのは、PIC が最初に 信号を送ろうとしたときに必ずリセットがかかるためと思われます。

そこで R4 を大きくして実験してみました。 4.7kΩ では症状は変わりませんでした。オシロで見た波形もほとんど変わりません。 10kΩ では通信が途切れ途切れになりながらも電圧測定を続けている かのように見えましたが、オシロで見ると確実にリセットされる 電圧まで一度下がっています。これ以上 R4 を大きくしてもうまくいくか わからないのと、大きくし過ぎるとパソコン側の RS-232C のレシーバが 電流を必要とする場合に動作不良になる可能性があるので止めました。

結果としては外部電源(006P)を利用することに決めました。

その後 DTR も電源として使えば、大丈夫ではないかという案をもらったので、 調べてみました。 Windows 版のソフトを使った時は DTR を H にしてくれるようです。 DOS 版のソフトの場合には DTR は L のままでした。Windows版のソフトのみ 使うか自分で書くなら DTR を電源にできるかもしれませんが、DOS版の場合は ダメですね。うまくいくようなら、R4 を RTS からのダイオードではなく、 DTR からダイオードを通してつなごうと思っていたのですが。

温度測定

キットについてくる LM35 を使って測定する際、キットの回路通りにつくり、 表示温度が室温になるように調整していましたが、なかなかあいません。結局、 温度を見ながら調整するより、ゲインを決めてリファレンスを 測定して計算した方が確実で正確なようです。

  1. ADC の入力の、OP-ampは、10.0倍に調整(半固定抵抗(多回転タイプ、キット付属) の値をテスターで測りながら調整)
  2. reference 電圧を測定。電源電圧が reference で、4.90V
  3. 1/255 * 4.90 * 10.0 = 0.19215... で温度直読, 誤差は、±0.19℃(ADCの直線性があり、±1LSBの精度なら)。
という方法をとりました。秋月のソフトで直読にする場合のゲインとは異なります。

LM35DZについて

LM35D は 0-100[℃] が動作範囲となっていますが、零下でも実は動作する ようです。データシートの応用例の -5 to +40 [℃]の回路で零下の出力 を出すことを確認しました。ただし精度は落ちているはず(0[℃]で typical ±0.9[℃], design limit ±2.0[℃]) なので注意が必要です。 また温度と出力電圧の関係は割合い直線性が良い (nonliniarity: typical ±10.0[mV/℃], design limit +9.8 - +10.2[mV/℃])ものの、 オフセットが大きい (accuracy(25[℃]): typical ±0.6[℃], tested limit ±1.5[℃]) ようです。 PIC-ADCのオペアンプの入力オフセット(max 10[mV], 10倍に増幅するので、 max 100[mV], 1[℃])もあってのことだろうが、2つのLM35DZ を接続した ところ、3.4-3.6[℃]分値が異なっていました。

ソフト

付属は、DOS/Windows 用です。UNIX 用が欲しかったので作りました。 FreeBSD/NetBSDで動作しています。 まだ完全ではありませんが、欲しい人はどうぞ。Linux でも、 コンパイルは通るようにしました(2000/2/6)。動作報告がありました(2001/6/28)。
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Copyright (c) Noriaki Mitsunaga. (本を出しました: はじめてのPICアセンブラ入門 | センサとデジカメで遊ぶ電子工作入門 | 玄箱PROと電子工作で遊ぼう )